中仙寺・宮山・塩津山墳墓
邪馬台国(やばたいこく)の女王卑弥呼(ひみこ)が魏(ぎ)に使いを出した頃、出雲・筑紫・吉備・大和・越(北陸)・尾張などの各地に小国家があり、それぞれ独自の文化をもっていました。出雲の王は、国のシンボルを四隅が突出する墓にしました。
大成・造山古墳
3世紀後半ごろ、争っていた国々はヤマト政権を中心として九州から東北地方までまとまります。荒島地域の豪族は、新たなる時代の幕開けを出雲地域の盟主として迎え、その後も中海を見下ろす王陵の丘に大型の古墳を絶えることなく築いています。
もともと19基からなる墳墓群でしたが、現在では2基の四隅突出型墳丘墓が保存整備されています。 8・9号墓は中規模(18m、含突出27m)の四隅突出型墳丘墓です。複数の墓壙がありますが、中心のものは2段掘りで棺を粘土と砂で覆っていました。
仲仙寺9号墓(現在は整備されている)
仲仙寺9号墓 管玉出土状況
仲仙寺9号墓・10号墓出土 碧玉製管玉
仲仙寺9号墓・10号墓出土 弥生土器
【その他の出土品】
・壷・甕(かめ)・高杯(たかつき)・器台(きだい)
1号墳(消滅)は全長56mの出雲で2番目に大きい前方後方墳です。出雲に前方後方墳が流行する先駆けとなった古墳でした。4号墓は弥生時代後期に築かれた中規模(18m、含突出30m)の四隅突出型墳丘墓です。
(写真)宮山4号墓(現在は復元されている)/ 提供:島根県埋蔵文化財調査センター
宮山4号墳出土 太刀
写真/島根県古代文化センター提供
【その他の出土品】
4号墓/ ・蓋・甕(かめ)・高杯(たかつき)・器台
1号墓/ ・朝顔型埴輪・円筒埴輪・形象埴輪
古墳時代前期に築かれた1辺60mもある巨大な方墳です。中央に設けられた竪穴式石室は当時の最高級の埋葬施設で、排水対策など優れた土木技術で造られていました。内側の長さ7.5mは全国でも7番目の大きさです。現在、未整備のため埋葬施設は見学できません。
【出土品】
・三角縁二神二獣鏡・素環頭太刀(そかんとうたち)・太刀・剣・小型丸底つぼ
古墳時代前期の100年間において全国で一番大きい方墳です。一辺が60m、高さ5mで谷側は2段になっています。斜面は石で覆われ、海から見ると巨大な人工の石山がそびえているように見えたことでしょう。葬られた豪族の権力の大きさがうかがえます。古墳の上に立つと、中海八景にも選定されている中海や島根半島が一望できるすばらしい眺望が広がっており、国引神話の世界に引き込まれます。
造山3号墳出土 斜縁神獣鏡
写真/ 島根県古代文化センター提供
造山2号墳出土埴輪
(左から円筒埴輪、人物埴輪、朝顔形埴輪)
【その他の出土品】
1号墳/ ・三角縁神獣鏡・方格規矩鏡2枚・ガラス製管玉・
・ 紡錘車形石製品・鉄剣・鉄刀
3号墳/ ・斜縁神獣鏡・碧玉製管玉
6・10号墓は県内最大級の四隅突出型墳丘墓で一辺30m以上、突出部を含めると40mにもなります。出雲市の西谷墳墓群にも大型のものがあり、弥生時代後期には出雲地方の東西に2大勢力があったと考えられます。1号墳は弥生時代の王墓である四隅突出型墳丘墓の特徴を、色濃く残した古墳です。築造当時の姿に復元された墳丘からは、雄大な大山を望むことができます。
塩津山1号墳出土 特殊円筒土器
写真/島根県古代文化センター提供
【その他の出土品】
1号墓/ ・壷型土器・高杯・鼓形器台・特殊円筒器台土器
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